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288話

別れ際に余計な挨拶はなかった。潤達を後にした唐龍は、次に寧馨のところへ足を運ぶつもりでいた。

実は粒子加速器の件については、唐龍はずっと心に留めていたのだが、この頃は他の用事で忙しく、また寧馨も別の任務を受けて潤達で半月ほど休暇を取っていたため、二人はしばらく顔を合わせていなかった。

訪ねる前に、唐龍は彼女に電話をかけた。寧馨は会社ではなく自宅で別のプロジェクトを研究していると言ったので、唐龍はランボルギーニを飛ばして彼女の小さなアパートへと向かった。

ドアをノックするとすぐに開き、少し乱れた長い髪と疲れた表情の寧馨が迎えてくれた。「早く入って!」

唐龍が中に入ると、部屋は散らかり放題...