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260話

谷間と唐龍が陽光海岸ホテルから出てきた。

「唐龍、私が思っていたよりも状況が危険だということが分かったわ」谷間は心配そうな表情で言った。

「確かに状況は厄介だけど、そこまで深刻というわけでもないよ」唐龍は答えた。

谷間は眉をひそめて言った。「私、このことを始めたのが正しかったのか疑問に思い始めているの」

「今は考えすぎないで。すでに始めたことだから、後戻りは考えないほうがいい。まだ万全の準備をする時間はあるんだから」唐龍は慰めるように言った。

「ありがとう、唐龍!」谷間は哀れっぽい顔で唐龍を見つめ、大きな瞳には涙の光が揺れていた。

「バカな子だな、礼を言うことなんてないよ」唐龍は笑...