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106話

「胸を狙うフリをして、刀の柄を打て!」突然、アブが唐龍に念話を送った。

唐龍はそれを聞くと、風過無痕の身法を使ってアブの目前まで接近した。

一掌を繰り出し、唐龍はアブの心臓めがけて打ち込んだ。

だが次の瞬間、唐龍は手の位置を下げ、アブの刀の柄を叩いた。

唐龍はこの一撃に十分の気勢を込めており、アブも手を震わせながら同じく力を込め返した。

ほぼ同時に、白氷の軟剣がアブの背中を襲った。

アブはもはや避ける間もなかった。

白氷のこの一剣はアブの体内に刺し込まれた。

だが鎖骨を貫く前に、白氷の軟剣は止まってしまった。

白氷は腹部に鋭い痛みを感じ、視線を下げると恐ろしいことに気づいた。...