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920話

緊張と恥じらいの気持ちを抱えながら、葉総の後について事務所を出た。

林頓ホテルは、県内でも比較的高級な五つ星ホテルだ。

県の中心部、最も賑やかな商業地区に位置するホテルの一室で。

許玲は葉総の前で気まずさと緊張で立ちすくんでいた。彼女は今まで生きてきて初めて男性とホテルの部屋に入ったのだ。

もし夫に他の男とホテルに入ったことを知られたら、殺されるかもしれない。

心の中では求めていたけれど。

義父や息子と「あんなこと」をする妄想をよくしていた。

でもそれは心の奥底に隠した個人的な秘密だった。

実際に男と遊ぶのとは話が別だ。妄想は妄想、現実は現実。

心では求めていても、表向きは賢...