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833話

小蘭は陸国富の肩に足を乗せ、屋上の縁に手をかけていた。

長い足が陸国富の顔にこすれていたが、

彼は少しも気にする余裕がなかった。

もし彼女が誤って落ちでもしたら、自分は殺人犯になってしまうだろう。

しかしこの小娘は少しも怖がる様子もなく、あっという間に屋上に登っていった。

「来て」彼女は陸国富に手を差し伸べた。

屋上を通り抜けて、向かいの部屋のベランダへと直接行くつもりだった。

古いアパートではベランダが窓よりもずっと長いため、リビングにいる人から見えない場所に降りることができた。

この家のベランダは雑多なものでいっぱいだった。

陸国富と小蘭は段ボール箱の間...