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609話

「半信半疑だったけど、今はすっかり信じてしまったな」

いわゆる「噂に火の無いことなし」というやつか。世間で広まる噂話には、それなりの道理があるものだ。

とにかく今回の酒宴は、飲めば飲むほど腹が膨れ、飲めば飲むほど頭が冴えてくるという不思議なものだった。

ビール二箱を空け、何度もトイレに駆け込んだ末、みんなすっかり酔いが覚めていた。

「眠いよ、もう飲めない。明日まだ仕事あるし」

陸国富は時計を見た。午前二時半になっていた。

桃の花のように可愛らしい許玲と、色気漂う余小青を見て、にやけた顔で尋ねる。「寝るのはどうする?」

「夢見がちな豚みたいな顔で何考えてんの」

許...