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192話

エレベーターを出た陸国宇は、ビルの出入口へと向かった。ドア付近に着くと、そこに陳小燕の姿が見えた。

黒いレースのロングドレスに赤いハイヒールを合わせ、薄化粧を施した顔はいつも以上に洗練されていて、普段の看護師姿とは別人のようだった。

「陳小燕!」陸国宇は、彼女がまだ自分に気づいていないのを見て声をかけた。

陳小燕はようやく反応し、陸国宇の姿を認めた。

今日の陸国宇は病院で見かけた時とはまるで違っていた。格好良く、そして身に纏う香水の香りも爽やかで心地よかった。

「陸国宇、今日すごくかっこいいね!」

陳小燕は照れながら言った。陸国宇も褒められて少し恥ずかしくなり、後頭部を掻きながら言った...