比類なき戦士

97話

雲城。

龍飛エンターテイメント。

約三十歳、冷厳な気配を漂わせる男が社長席に座り、社員の報告に静かに耳を傾けていた。

「霍……霍総、紀家の事件発生後、すぐに調査に向かいました。検死報告が出たばかりですが、手掛かりは何一つ見つかりませんでした！」

「手掛かりが何一つない、だと？」

冷厳な男は社長席に座ったまま、机上の陶器の筆立てを弄んでいた。

担当者の報告を聞き、彼の表情が一気に曇る。

手に力が入り、パキッという音とともに、陶器の筆立ては粉々に砕け散った。

「紀家はそれなりにビジネス界で何年も生き抜いてきたのに、どうしてこんなに脆く倒れるものか。紀家の壊滅、そう単純な話ではない！」

冷たく独り言...