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96話

「やめてくれ!」

紀剛は恐怖に震えながら叫んだ。

「先生、我が紀家はあなた様と何の因縁もございません。ただ不肖の息子があなた様に無礼を働いただけです。今や息子は死に、老祖も亡くなりました。どうか慈悲の心をお持ちになり、私たちをお許しください!」

そう言いながら、紀剛の顔には誠実さと敬意が満ち溢れていた。

葉然はただ静かに彼を見つめていた。

紀剛が話し終えると、ようやく淡々と口を開いた。

「その言葉は、お前たち紀家に殺された者たちに地獄で言うがいい!」

そう言いながら葉然は左手を虚に握り、一振りの長刀が徐々に実体化していった。

まさに先ほど紀儒山が使っていた技だった。

紀剛は驚...