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90話

叶然は光沢のある白玉の印章を見つめながら、銭太りに言った。

「先に出ていてくれ」

銭太りは小鳥がエサをつつくように何度も頷いた。

彼はすでに何かがおかしいと気づいていた。先ほど部屋に入った時の冷たさ。

いや、陰の冷たさだ!

おそらくこの白玉の印章と無関係ではないだろう。

「叶...叶大師、私は外でお待ちしています。何かあったら一声かけてください。すぐに、すぐに警察を呼びます!」

叶然は何も言わなかった。

こういった事は警察を呼んでも無駄だ。ただ多くの人が死ぬだけだろう。

銭太りは走り出て行った。

叶然は部屋の周りを一瞥し、冷たく言った。

「畜生め、さっさと死に服せ!」

言葉が落ちると、部屋は静...