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84話

演奏が終わると、夢から覚めたかのように観客全員が立ち上がり、会場に熱烈な拍手が響き渡った。

採点が始まった。

「一番審査員、10点です」

「二番審査員、10点です」

「三番審査員……10点です」

次々と10点が大画面を埋めていく。これは誰もが予想していたことだった。

ほとんどの人が、これが今日の公演で唯一の満点になるだろうと思っていた。

子供の部はおろか、少年の部に出ても、晴児の演奏は比類のないものだったからだ。

他のことは措いても、あの感情の伝達力だけでも、十数年、二十年と芸術に浸ってきた若手芸術家たちも舌を巻くほどだった。

「九番審査員、10点です」

「さて、最後の于先生の点数を見て...