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81話

葉然は曲清歌を抱えて立ち去った。

人通りのある場所まで歩いてきて、ようやくタクシーを拾った。

車内で葉然は曲清歌の手を握り、淡い真気を送り込むと、彼女の体に暖かい流れが巡るのを感じ、恐怖に満ちていた瞳がようやく落ち着きを取り戻した。

「大丈夫だよ」

葉然の言葉を聞いて、曲清歌はまるで安心の薬でも飲んだかのように心を落ち着かせた。

何か言おうとした瞬間、葉然が首を振ったのを見て、タクシーの中にいることに気づいた曲清歌は、それ以上何も言わなかった。

曲清歌は頬を赤らめ、

「ありがとう…」

「どういたしまして」

しばらくして車を降り、曲清歌はホテルへと案内した。

ホテルの部屋に着...