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370話

今、葉然はひっそりとした小さな食堂で曲清歌と食事をしていた。

この店は小さくて辺鄙な場所にあるとはいえ、味は確かに悪くない。

二人が甘い時間を楽しんでいると、フェリスと金洛絲が埃まみれの姿で駆けつけてきた。

二人の美女の登場に、店内の多くの客の視線が集まった。

彼女たちは隅に座っている葉然を見つけると、ほっと一息ついて、そのまま彼の方へ歩み寄った。

「ご主人様!」

「閣下!」

二人の呼びかけに、耳を澄ませていた周囲の客たちはみな一瞬固まった。

多くの男性の顔に、意味深な笑みが浮かんだ。

葉然は頷いて、

「どうしたんだ?」

「閣下、まだご存じないのです...