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354話

悲鳴がまた一度、部屋から響き渡った。

ただ今回は、立場が逆転していた。

そして葉然は別の部屋で既に茶を飲み始めていた。

フェリスは傍らに立ち、何度か言いかけては止める様子を見せていた。

「どうした?」

葉然は茶碗を置きながら淡々と尋ねた。

「ご主人様、金洛絲の等級はさほど高くありませんが、彼女が象徴するのは血皇古城の威厳です。今、彼女にレイモンドを主と認めさせるということは、暗に血皇古城の顔に泥を塗ることになります。これは…」

フェリスの顔に一筋の憂色が浮かんだ。

この血皇古城は吸血族全体の最も中核となる聖地であり、そこには数え切れないほどの吸血族の強者がいる。...