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320話

「莫少聪は誰のことを言っているんだ?」

陸星月は艶やかに身を揺らし、愛らしく微笑みながら言った。

「あの剣で咸陽城を斬ったという剑修のことかしら?」

この言葉に、真伝の天才たちは顔を見合わせた。

「ふん、どうせ噂が噂を呼んだだけだろう。咸陽城は確かに主要都市だが、辺鄙な場所にある。そんな所に絶世の剣修などいるはずがない」

白無情は軽蔑したように言った。

その言葉に皆が頷いた。

例年の大会でも、咸陽からの参加者はほとんど見かけないのだ。

いたとしても、成績は大抵最下位だった。

そのとき、人混みの中にいた葉然は遠くの莫少聪を見つめ、口元に淡い笑みを浮かべた。

「まさか身を剣に捧...