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319話

叶然と紀紫嫣はすでに長安城に入っていた。

広大な街路、極めて賑やかな街の景色が、この主城に他とは違う風格を見せていた。

大通りに立つ叶然は、ほんの少しの間に数人の武尊に出会い、さらには神境の者たちが街を行き来するのも目にした。

しかし叶然はずっと遠くの雲を突き抜ける隠宗を見つめ、目を輝かせながら何かを考えているようだった。

「ご主人様、私の師姉が今、長安城にいますので、そこに宿を取ることができます!」

紀紫嫣が言った。

叶然は何とも言えない様子でうなずくと、紀紫嫣について街中のある通りへと向かった。

ここは大通りほど広くはなかったが、十分に賑わっていた。

そして...