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299話

「詩?」

姜初寒は足を止め、小さく頷いた。

「欲将心事付瑶琴、知音少、弦断有誰聴」

李智恩が読み上げた。

この詩が何を意味するのか、彼女には分からなかった。

だが姜初寒はハッとして、すぐに表情が一変した。

彼女は一歩踏み出し李智恩の前に立ち、彼女の手から紙を奪い取った。

「欲将心事付瑶琴、知音少、弦断有誰聴」

姜初寒はその詩句を呟くように読み上げた。

一字一句が彼女の口から発せられるたび、まるで大きな鐘が鳴るように、彼女の耳元で轟いた。

姜初寒は深く息を吸い込むと、その紙を丁寧に折り畳み、大切そうに仕舞った。

途端に、周囲から驚きの声が上がった。

これは何を意味するのか...