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290話

「老族長?」

「老族長は意識不明の昏睡状態だったはずでは?」

「ごほっごほっ、トゥラド、お前には本当に失望したぞ」

その時、年老いた声が響いた。

見れば、老族長が背中を丸め、杖をつきながら、二人の男たちに支えられて現れた。

トゥラドの横柄な表情は、一瞬にして驚愕に変わった。彼は叫んだ。

「あり得ない!お前は偽物だ!老族長のはずがない!」

「トゥラド、まだ目を覚まさぬのか?早く跪いて罪を認めろ」

老族長は怒りで杖を地面に叩きつけた。

「お前は偽物だ!老族長は私が仕込んだ薬を飲んだ。二度と目覚めるはずがない!」

トゥラドは狂ったように言い放った。

その瞬間、野馬部族の者たちは皆、怒り...