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286話

「話してくれ」

葉然が言った。

「誰もいないところで話したい」

晴児が答えた。

葉然は晴児を抱いて部屋を出て、外に来ると、声を低くして言った。

「ここには誰もいないから、話してもいいよ」

「パパ、私、すごく強くなりたいの。パパみたいに強くなれば、誰も私や可児お姉ちゃん、アイナお姉ちゃん、それに清歌お姉ちゃんや初寒お姉ちゃんたちをいじめられなくなるから」

晴児は葉然の耳元でそう言った。

葉然は一瞬驚いたが、すぐに笑みを浮かべて言った。

「晴児、実はもうすでに強くなってきているんだよ」

「パパ、嘘ついてない?」

晴児は「あ」と声を上げ、目をぱちくりさせながら葉然を見つめた。

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