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244話

「え?」

騒霸天は一瞬、驚いた顔をした。

「全員か?」

「はい」

騒軍は頭を掻きながら言った。

「前回の潮の後、馬老六武宗と残りの十人の武宗全員が湘北を離れ、閉関の場所を探しに行きました」

騒霸天は思索に沈んだ。

十一人もの武宗が同時に閉関するなど、珍しいことだ。

もしや何か刺激を受けたのか、それとも隠された事情があるのか?

「家主、恐らく十年ごとに訪れる水妖獣潮が来ることを知って、それで……」

騒軍はそこで言葉を切った。

たとえ十一人の武宗が恐れて逃げ出したのだとしても、それを非難できる立場ではない。

言わんとすることは、これくらいで十分だ。

「そうなのだろう」

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