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179話

東海湖畔通り。

一台の白いメルセデス・ベンツのバンが、東海へと向かっていた。

東海は東海市の市街地から外れた場所にあり、そこへ行くにはそれなりの時間がかかる。

「葉様、あと15分ほどで東海に到着します」

運転手が告げた。

「ご苦労様」

運転手はその言葉に、思いがけない恐縮を感じた。

自社の社長さえも敬意を払うこの男性に対して、自分などが「疲れた」などと言える立場ではない。

「葉様、いいえ、お疲れなどではございません。葉様と姜お嬢様のお車を運転できるのは、私の光栄です!」

この言葉は、運転手の誇張ではなかった。

来る前に、趙雄から念入りに言い渡されていた。...