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603話

三十分ほど経つと、部屋のドアをノックする音が聞こえた。ドアを開けてみると、やはり吴さんが外に立っていた。私は吴さんを見るなり、顔に喜びの笑みを浮かべて言った。「吴兄、来てくれたんですね?」

吴兄はそれを聞くと、穏やかな笑顔を浮かべながら私を見て言った。「ああ、そうだよ」

私が吴兄を部屋に招き入れた後、わざわざ廊下に顔を出して周囲を確認した。幸い、この時間帯は人の往来もなく、吴兄の来訪を誰も目撃していないようだった。

部屋に入った吴兄は、微笑みながら手提げバッグから二つの物を取り出した。一つはピンホールカメラで、もう一つはなんと腕時計型の隠しカメラだった。

吴兄がその腕時計型の隠しカメラ...