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36話

「予定より三十分も早く戻ってきた。六少爷もお腹を空かせることなく、部屋に入ってみると、その小さな子は短い足をバタつかせ、丸々とした小さなお尻をフリフリさせながら、前に這おうとしていた。

数歩這っただけで体を起こそうとするも、力が足りず、柔らかな布団の上にぺたんと転んでしまい、悔しそうにあーあーと鳴いている。

傍らで世話をしていた阿杏は目が見えなくなるほど笑いながら、彼を支え起こした。

洋洋が振り向いて私を見ると、すぐに小さな手を振り回し、むにゃむにゃと甘えた声で抱っこをねだった。

「洋洋は本当にあなたが好きね」と阿杏がからかうように言った。「振り向いたとたん、私のことは忘れちゃうんだから」

私...