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863話

「この一袖の威力を見て、観戦者たちだけでなく、地仙たちさえも震え上がった。地仙は山を動かし海を平らげる力を持つとされるが、せいぜい小さな山を砕く程度に過ぎない。

秦朗のように、軽く手を振るだけで千メートル先の山を裂くような神威は、想像を絶するものだった。

「こ、これがまだ人間なのか?」

遠くにそびえる数百メートルの山々が、轟然と左右に崩れ落ちる様子を目の当たりにした。まるで神の剣で真っ二つに切り裂かれたかのような威勢に、皆の想像を超えていた。

天雪たちは呆然と立ち尽くした。

「ま、まさか。あれは小白兔どころか、九天の真龍じゃないか」

北境聖女は紅い唇を開いたまま、言葉を失っていた。

音音に至っ...