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723話

全員がそれぞれの席に着き、静まり返っていた。ただ一人、楊占国だけが、床から天井まである窓の前で背手し佇んでいた。

楊占国が何を考えているのか、誰にも分からない。だが、この場にいる全員が重苦しい面持ちであることは明らかだった。会議室には煙がたちこめ、沈鬱な空気が満ちていた。

「楊少、老克、龍兄」久しく姿を見せなかった古参たちの顔ぶれを見て、阮福も事態の異常さを察した。彼は各々に挨拶をしながらも、胸中は不安で一杯だった。それでも気持ちを奮い立たせ、皆に声をかける。

阮福は名目上は楊家の総管理人だが、実際は地位は低くとも権限は大きく、経歴も古い。常に尊敬される立場にあった。そうでなければ、楊占...