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612話

秦朗は携帯電話を手に取り、何気なく数字を押したが、孔星娜が彼に渡したのは電池切れの携帯だということに気づいた。

秦朗は電話のかけられないその携帯をテーブルの上に投げ捨てた。「孔さん、それはないでしょう」

「何がないって?もしあなたに仲間がいたら?今あなたに携帯を渡して、彼らに連絡して悠々と逃げられるようにするとでも思ったの?ああ、私をバカにしてるの?」孔星娜は両肩を抱き、冷笑した。

その頃、北京警察署のとある事務所で。

「プルル……」

宋長興が座ってから10秒も経たないうちに、電話が耳障りな音を立てて鳴り始めた。彼は眉をひそめながら、手近に受話器を取った。

「どちら様ですか?」宋長興が...