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544話

しかし、葉長風という人物について、秦朗はかなり好感を持っていた。賞罰がはっきりしていて、思想的な深みもある人だ。

だから秦朗は葉長風の任命に逆らうことはなかった。実際のところ、彼は邀月宮の主であり、全国的な組織ではないにしても、葉長風と完全に対等の立場にあることには変わりなかった。

ただ、葉盟主は彼にとって恩義の深い人物だった。しかも武盟の騒動を経て、秦朗は常子冲をはじめとする若手派閥を何とか助けたいという思いもあった。

「秦朗、君は随遇而安で、陶淵明のような世俗を離れた生き方を好む人間だな。そう考えて間違いないか?」葉長風が尋ねた。

「ええ、東籬の下で菊を摘み、南山を眺めながら悠々と...