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361話

鐘家の広大な建物群には、見張りが林立し、極度の警戒態勢が敷かれていた。

鐘九珍専用の別荘内にある広々としたリビングでは、四人による密談が始まろうとしていた。

「秦朗、何か手がかりはあるか?」鐘九珍が尋ねた。

「あ、忘れてた。鐘老、鐘氏ビルの向かいの高層ビルに人を送ってくれないか。屋上に俺が縛り付けた男がいるはずだ。たぶんまだ死んでないから、連れてきてほしい」秦朗は先ほどまであまりにも慌ただしく、今になってあの狂笑していた狙撃手のことを思い出した。

秦朗はその狙撃手をもう少し尋問するつもりだった。

鐘雪山はすぐに電話をかけ、十分後、鐘氏ビルから連絡が入った。屋上の男は姿を消し、血痕だけが...