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190話

曹寧はすぐに構えを取り、秦朗に向かって直拳を繰り出した。今回の秦朗は以前のような軽率さはなく、相手の直拳を受け止められないと悟ると後ろに下がった。そして曹寧が拳を引く瞬間を見計らい、ためらうことなく一歩踏み込み、「ドン」と曹寧の胸を打ち抜いた。

秦朗が曹寧に拳を当てられたのは、曹寧があまりに攻め込み過ぎたうえ、油断していたからだ。曹寧は雷のような勢いで秦朗を素早く片付けようとしたが、逆に一発食らってしまった。しかも大勢の人、特に龍霊の前で面目を潰されたのだから、その悔しさは想像に難くない。

「くそっ」曹寧は思わず汚い言葉を吐き、周りの者たちを驚かせた。江南大学では曹寧はいつも謙虚な紳士のイ...