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189話

会場は静まり返り、秦朗の笑い声だけが異様に響き渡っていた。

曹寧は一目で秦朗を見つけ、憎しみの眼差しを向けた。彼は思わず龍霊の様子をこっそり窺うと、彼女の瞳にも薄らと笑みが宿っているのが見えた。それを見た曹寧はさらに腹立たしく感じた。

「おい、何を笑っているんだ?」演出担当の学生は、秦朗のこの無礼な態度に、すぐさまステージ中央に駆け寄り、マイクを持って彼を指さしながら大声で言った。

「別に何も笑ってないよ?」秦朗は龍霊に見られていることもあり、彼女に無礼な印象を与えたくなかった。

「ふざけるな!明らかに曹少のしゃっくりを笑ってたくせに、認めないのか!」演出担当は秦朗を指差し大声で言い放...