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180話

龍霊は呆然とした表情で秦朗を見つめ、ゆっくりと立ち上がって彼の方へ歩み寄った。周りの人たちは少し慌て始め、特に馬陽は拳を強く握りしめていた。

「どうしたんだ、まさか龍お嬢様が彼を受け入れるんじゃ…」

「早すぎるだろ、トウモロコシ一本で龍家のお嬢様を落としたのか」

「俺の常識が覆されそうだ」

……

秦朗も固まっていた。彼の心の中では興奮と不安が入り混じっていた。鐘玉は僕を認めてくれるのか?彼女はついに僕の過ちを許してくれるのだろうか?

「ありがとう。あなたのトウモロコシは本当に美味しかったわ。確かに泣きたくなるような気持ちにもなった。でも、それだけよ。あなたが『鐘玉』という彼女に一途な気持...