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170話

秦朗は考えた。今や手元に1000元も残っていない。この中年女性について行けば、少しでも金を節約できるだろう。

「泊まります」秦朗は頷いた。

おばさんの顔に笑みが広がった。「じゃあ、ついてらっしゃい」

「お兄さん、あなたの訛りから察するに、浙江省の人じゃないわね。臨安に仕事を探しに来たの?」おばさんは秦朗を連れて人混みを抜けながら尋ねた。

「ええと…」秦朗は言葉に詰まった。なぜみんな自分を出稼ぎ労働者だと思うのか。まあいい、そう思われるならそれでいいだろう。「まあ、そんなところです」

「臨安に親戚や友達はいるの?」

「いません」

「随分と大胆ね、何の当てもなく臨安に来るなんて…」おばさんは振り返...