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991話

英国の王は今や18世紀のような絶対君主ではなく、精神的象徴として存在するにすぎないが、彼女の地位や国際的・民間での影響力は、国内の誰もが及ばないものである。

結局のところ、イギリス三島が世界の名だたる強国になれたのは、先祖たちが築き上げた基盤があってこそだ。

産業革命後、権力の座から引きずり下ろされたとはいえ、良心ある国民の心には後ろめたさが残り、その分一層の敬意を示すようになった。

だからこそ「御幸」の際の儀式は今も厳かで複雑なものとなっている。

随行する一団が大規模なだけでなく、兵士たちは王室規定の騎士服に身を包み、腰に剣を帯び、目を正面に据えて威厳ある不可侵の姿を見せている。

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