Read with BonusRead with Bonus

986話

轟!

砲弾が真っ直ぐに浜辺の浅瀬に落下し、爆発で巻き上がった水柱は十数メートルにも達した。

この砲撃で、どれほどの海の生き物たちが無辜の犠牲になったことか。

すでに船長室に入ったハンムは、ガラス越しに絶え間なく上がる水しぶきを見つめながら、無感情に見える瞳の奥に、時折痛みの色が浮かんでは消えた。

この半年余りの間に李南方の子を産み、朝な夕なに共に過ごし、肌を寄せ合ってきた二人に感情がないなどと言うのは、明らかな嘘だろう。

人は草木ではない、誰に情がないというのか。

だがハンムは、彼女の新たな美杜莎王朝のため、そして楊逍という大魔頭から完全に身を引き離すため、こうするしかなかったのだ。

彼女には...