絶品の叔母さん

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973話

大雨が降り終わった後、空は一段と青く見えた。

「碧空如洗」とはまさにこのことだ。周囲の木々も、いつもより一層緑が鮮やかになっていた。

どこもかしこも生命力に満ち溢れている。ただ、前方にある高い壁の向こう側を除いては。

「この雨が青山の方に降ってくれたらよかったのに」

岳梓童は車窗の外を眺めながら、感慨深げに言った。「天の采配は不公平だわ。五月一日以降、こっちではもう何度も大雨が降って、小川の水はあふれそうなのに。青山の方の田んぼは、もう地面が割れるほど乾ききってるんじゃないかしら」

「そうですね」

口数の少ない齊月は、そっけなく頷きながら、ゆっくりとブレーキを踏んだ。

岳梓童は当然、齊月...