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937話

李南方は右手を伸ばし、その物を掴み取った。

ずっしりと重く手に馴染む感触、まさに楊逍に持ち去られた鉄の札だった。

鉄札はハムの息子の手のひらほどの大きさで、楕円形をしており、厚さは約一センチほどだった。

鉄札の縁は手を切らないよう、すべて丸みを帯びた曲線になっている。

手に取った瞬間、その重さが普通でなければ、李南方は黒い翡翠を持っているのではないかと疑ったほどだ。

翡翠だけが持つ、手に触れた時の丸みのある感触。

これだけでも李南方は断言できる、この鉄札の素材は普通の鉄で作られたものではないと。

鉄札の重い手触りから判断すると、これは玄鉄であるはずだ。

いわゆる玄鉄とは、宇宙から落ちてきた隕石...