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881話

李南方は水深十メートル以上の場所にいながらも、楊逍の顔をはっきりと見ることができた。それは明月のおかげだった。

昼間なら、太陽の光は約二百メートルの深さまで届く。

月光は太陽光よりもずっと弱いものの、水中数十メートルまで照らすのは問題ない。

何しろ外洋の上空は空気が澄んでおり、さらに嵐の後で浮遊物がすべて吹き飛ばされていたため、視界はより良好だった。

ばしゃっという音と共に、李南方は楊逍の髪を掴んで、ようやく水面に浮上した。船の左舷側に。

まず口を開け、思い切り空気を吸い込んだ。

酸素が干からびた肺胞をすべて満たしていくと、嵐を乗り越えて初めて虹を見る時のような爽快感が全身を駆け巡った。

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