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876話

巨大な波に直面し、李南方はどんなに泳ぎが上手くても絶望感に襲われた。

もし彼一人だけなら、まだ最後の力を振り絞る希望があっただろう。

船から木樽のようなものを見つけ、それに自分を縄で縛りつけ、深呼吸して目を閉じ、風雨に身を任せ、微動だにせず——最後は死んだ魚のように岸に打ち上げられるのを待つ。

目が覚めたら縄をほどき、口いっぱいの砂を吐き出し、尻を叩いて楽しく立ち去る。

だが問題は、彼が一人ではないということだ。

彼は一人で戦っているわけではない!

いや、違う。彼には重荷が一つだけではなく、彼にしがみついて一人で逃げることを許さないのだ。

船首に辿り着いた彼は、孤独を感じていたが、極楽浄土...