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874話

その時、甲板の上では人身売買の連中が再び大混乱に陥っていた。

しかし、今回の混乱は先ほどのパニックとは異なるものだった。

前回彼らが慌てふためいた時は、頭のない蠅のように無秩序に走り回っていた。

今回は秩序だった混乱だった。

混乱に見えたのは、彼らが甲板の四方八方から船尾にある最大のコンテナへと走り寄る際、互いにぶつかり合い、転倒していたからだ。

船長の指示に従って錨を投げる者はいなかった。

あるいは、それぞれの持ち場に戻り、共に終末を迎える者もいなかった。

明らかに、彼らは何かを奪い合っていた。

それは、今回の津波から彼らを救う可能性のあるものだった。

あのコンテナの中に何が入っているのだろ...