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832話

「何事もなく、突然人が入ってきて、何も言わずに親切に説明していた店員の喉を握り潰した。

これはどういうことだ?」

ハムたちは目を見開き、黒服の男を信じられないという顔で見つめていた。

「ハムとは誰だ?」

黒服の男は人を殺した後も、声色は穏やかで、どこか磁性のある口調だった。

まるで彼は今何もしておらず、ただハムを探しに来たかのようだった。

しかし彼のその問いかけは、丁度焼き場から出てきたパティシエを目覚めさせた。

そのパティシエは四十代で、禿頭、体格はがっしりとしており、映画に出てトム・ハンクスと共演しても、凶悪な悪役を演じられるほどだ。

驚いて我に返ったパティシエは、床に倒れた店員が喉を押さ...