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795話

「李、李南方、助けて」

電話が繋がるなり、閔柔の震える声が聞こえてきた。

ハッとして、李南方はようやくカラヴィッチが死の間際に「おそらく感謝することになるだろう」と言った意味を理解した。

なるほど、彼は閔柔に携帯電話を渡していたのだ。

それはコンパクトな高齢者向け携帯で、防水・防火機能付き、クルミを割るハンマーとしても使えるほど頑丈な代物だった。

カラヴィッチはなぜ閔柔に携帯電話を渡したのか?

そしてなぜ、李南方が彼に感謝するかもしれないと言ったのか?

もし李南方がこの携帯電話を頼りに閔柔を無事救出できれば、確かに感謝することになるだろう。

だが逆に、この携帯電話で閔柔を見つけ...