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77話

白灵児は死者の目から殺害の様子を読み取れるとは期待していなかった。黒幽霊はこれまで数々の犯行を重ねてきたが、追跡できる手がかりを一切残したことがなかったのだから。

カシャカシャとシャッター音が鳴る中、白灵児は死体の腕を引っ張り、体を横向きにして背中の下部を確認した。案の定、子供の手のひらほどの大きさの黒いサソリの刺青が見えた。

死体が横倒しになったことで、白灵児は鋭利な短刀と黒いブローニング拳銃、そして左手に握られた白いフルーツ型の携帯電話も発見した。

これら三つの物は死者の所持品だろう。致命傷は黒幽霊の得意武器である三稜軍刺によるものだった。

タタタという急ぎ足の足音が屋上の入口から...