Read with BonusRead with Bonus

715話

岳総と白霊児の関係は、昨夜から文字通り不倶戴天の大仇となった。

「父の仇、妻を奪われた恨み」を重んじるのは、何も男だけではない。

女同士でも、自分の婚約者が権力で奪われそうになれば、同じような憎しみが生まれるものだ。

岳総と真っ向から対立しているのは白霊児ではなく、あの不埒な局長だったとしても、岳梓童が白霊児を憎むことに変わりはない。卵があるからこそ鶏がいるのだから。

だが今や火急の事態、岳梓童はそんなことも顧みる余裕などなかった。

来たのが白霊児であろうと、たとえ憎しみが万倍の相手であっても、今にも奈落に落ちそうな甥っ子を引き戻す手助けをしてくれるなら、心から受け入れるつもりだった。

その...