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708話

李南方はいつも道理をわきまえた人間だった。

だが、道理を捨てるときには、たとえ自分に一片の理もなくとも、理のある側に重い代償を払わせる。

例えば叔母が馮雲亭に近づいたという件について。

激怒している最中でも、冷静になった後でも、彼は馮家の坊ちゃんが無実であることを確信していた。

ただの岳梓童が彼への報復に使った「道具」に過ぎなかった。

もし岳梓童が望まなければ、自ら馮家の坊ちゃんの車に飛び乗って一日中遊び回るどころか、たとえ馮雲亭が人を使って彼女を拉致したとしても、彼女は相手に後悔とは何かを思い知らせただろう。

あらゆる面から見て、馮雲亭は無実であり、李南方に恨まれる筋合いはなかった。

しかし...