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702話

「そうだ、そうだ、お酒だ!」

「飲まずにはいられないぞ!」

王徳発の言葉が終わらないうちに、董世雄たちが一斉に賛同の声を上げた。

誰からも命じられなくとも、ドアの外に立っていた狗子はさっと身を翻し、足早に立ち去った。

会社本部の三階には、貴賓をもてなすための特別室があり、その中の酒棚には高級酒が何本か置かれていた。狗子はずっと前からその酒に目がなかったが、これまで手を出す機会がなかったのだ。

今、天から降ってきたようなこの好機に、一杯やらなければ、今後もう二度と飲めなくなるだろう。

もちろん、社長が京華から持ってきた数本の国酒「茅台」に関しては、狗子に八つの胆があっても手を出す勇気はなかった。...