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673話

多くの人々が首を長くして待ち望んでいたファッションショーが華々しく幕を開けようとしていた矢先、天候がわざと邪魔をするかのように荒れ始めた。これは確かに憂鬱になる出来事だろう。

しかし、岳梓童はとても喜んでいた。

雨混じりの雪が大きければ大きいほど良い。北西の風も小刀のように「ヒュッヒュッ」と吹き荒れてくれた方がいい。

そうすれば、街頭には誰も出てこなくなる。

街に人影一つ見当たらなければ、誰が展示会センターの裏手にあるゴミ処理場跡地まで足を運んで、南方グループの黒ストッキングファッションショーなど観に行くだろうか?

誰も来なければ、李南方たちが長い時間かけて準備してきた苦労も水の泡となる。

岳...