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607話

段儲皇が現れると、会場の絶対的な焦点となった。

彼と並び称される扶蘇公子でさえ、脇役と化してしまった。

李牧辰のような美女に至っては、いてもいなくてもいい通行人Aになり下がった。

むしろ、なぜ彼が「駝鈴」を選んだのかを見抜き、さらに大勢の目の前で恥も知らずに五千元をたかり取った李南方こそが、彼に次ぐ二番手の人物となっていた。

これまでの段儲皇の振る舞いから、多くの人は彼のことを、先祖たちが流した熱い血のおかげで傲慢になっているだけで、本人は少し武術ができる以外は、知能が心配される無鉄砲な男だと思っていた。

いわゆる「南の儲皇、北の扶蘇」という評価も、彼の先祖を敬ってわざと持ち上げているだけで...