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590話

空港から市内までは、約四十分の道のりだった。林漢が自ら運転する車が数キロ走ったところで、後部座席に座っていた李南方が突然ドアを叩きながら叫んだ。「止めろ、車を止めろ!」

キィッという音とともに、林漢はブレーキを踏み込み、不機嫌そうに振り返って尋ねた。「どうした?」

「降りる」

李南方は振り返って冷笑するスキンヘッドの男に言った。「誰かに振り返ってじろじろ見られるのは大嫌いだ。お前のこの番犬が二度と振り返らないようにできるなら、市内まで送ってもらってもいい」

「このガキ、調子に乗りすぎだぞ。死にてぇのか?」

李南方が車に乗った瞬間から、スキンヘッドの男は我慢していたが、もう限界だった。...