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586話

李南方がもう一本のビールを手に取り、瓶の口が唇に触れようとした瞬間、彼が座っていた小さな折りたたみ椅子が蹴られた。

「いてっ」

不意打ちに、李南方は思わず声を上げ、よろめきながら後ろに数歩下がったが、結局バランスを崩し、どさりと地面に座り込み、背中が街灯の柱に強く当たった。

スキンヘッドの男は李南方の椅子を足で引っ掛けて奪うと、まるで何もなかったかのように前を向いたまま歩き続けた。むしろ、彼らに囲まれていた李牧辰の方が振り返って見ていた。

「くそっ、待ちやがれ!」

李南方は憤慨して叫びながら、地面から立ち上がりスキンヘッドに向かって突進した。「頭おかしいのか?なんで俺の椅子を蹴飛ばす...