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570話

タイにいる以上、余計なことに首を突っ込むのは無意味だと、白霊児は悟った。銃を収めて立ち去るしかない。

だが立ち去る前に、大衛兄に冷たく警告しておくつもりだった。「今後は華夏に近づかないことね。でないと、この手で逮捕してやるわ!」

職業意識の強い白霊児だが、李南方が今の彼女の態度をどれほど嫌っているかなど知る由もない。

頭の良い娘なのに、なぜこうも頑固なのだろう?

なぜ少し考えてみないのか。千回銃殺されても足りないような大衛兄のような本物のクズがなぜ今も元気に世界中を跋扈しているのか?

大衛兄が今日まで生き延び、世界中を自由に動き回れるということ自体が全てを物語っている。

その裏には深い事情があ...